頭が痛い。。。

最近、頭痛でお困りの方の来院が増えております。

日常生活に支障をきたす頭痛として頻度が多いのが、「片頭痛」です。
日本では、成人の約8%が片頭痛にかかっているとも報告されています。
女性に多いのも特徴です。


片頭痛


片頭痛の症状にはいくつかの特徴があります。

特徴の1つとして、「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる、キラキラした光、ギザギザの光が視界に現れ、ものが見えにくくなるという「前兆」症状が出るということが挙げられます(約1割の患者さんでみられます)。
この前兆は5~60分程度続き、その後頭痛が始まります。

また、頭痛が始まる前に、なんとなく頭痛が起こりそうな予感や気分の変調、疲労感、集中力低下、首の凝りといった「予兆」が生じることもあります。
一方で、上記のような症状なしに頭痛が生じることもあります。

片頭痛は、発作的に起こり4~72時間持続し、

・片側性
・拍動性
・中等度~重度の頭痛
・日常的な動作(歩行や階段昇降)などにより頭痛が増悪する、あるいは、頭痛のために日常的な動作を避ける
・悪心または嘔吐(あるいはその両方)
・光過敏および音過敏

といった症状の特徴があるとされています。
しかし、両側性の頭痛症状があったり(約4割は両側性)、拍動性でなかったりと、必ずしもこれらの症状を満たすわけではないので、頭痛でお困りであれば相談いただければと思います。

症状によっては、MRIなどの頭部画像検査を提案させていただくこともあります。
その際は、近隣の連携施設での画像検査の予約も行います。


片頭痛の治療

治療としては、アセトアミノフェン、NSAIDs(ロキソニンなど)、トリプタン製剤(イミグランなど)が用いられます。
「頭痛の診療ガイドライン2021」では

・軽〜中等度の頭痛にはNSAIDs(ロキソニンなど)
・中等度〜重度の頭痛にはトリプタン製剤

が推奨されていますが、症状に応じて切り替えたり、併用したりすることになります。
アセトアミノフェンは、効果はマイルドですが妊娠中でも使えるという利点があります。

2022年に5HT1F受容体作動薬であるラスミジタン(レイボー)も登場しました。
内服して30分から効果が出現し、2時間後に頭痛を消失させ、24時間と長い間効果が持続します。
トリプタン製剤と比較して、内服のタイミングが遅れても効果が発揮しやすいという特徴があります。
一方で、ふらつき、ねむけ、めまいが発生しやすいため、慣れるまでは、夕方から夜や、休日に試すことがすすめられます。


片頭痛の予防

発作時に症状を改善することは必要なのですが、患者さんとしては、発作自体が起こらなくなることが最も望ましいのは言うまでもありません。
予防薬としては、Ca拮抗薬(ロメリジン)、βブロッカー(プロプラノロール)、抗てんかん薬(バルプロ酸)、三環系抗うつ薬(アミトリプチリン)などが用いられますが、効果が十分でないことも多いのが実情でした。

2021年にCGRP関連抗体薬が使用可能となり、非常に高い予防効果が示され注目されています。
現在、ガルカネツマブ(エムガルティ)、フレマネズマブ(アジョビ)、エレヌマブ(アイモビーグ)が使用可能となっており、いずれも注射製剤です。
投与間隔は1ヶ月から3ヶ月毎となります。

効果としては、約半数の患者さんで発作日数が半減、10-20%で完全に消失する一方で、約20%の患者さんでは十分な効果が認めらません(3か月は継続し、効果判定することが推奨されています)。

3割負担でも1本約13,000円と高額な注射製剤ではありますが、有効性が高いため、当院では医学的適応を見極め、適切に使用するようにしております。

処方できる医師が総合内科専門医、神経内科専門医などに限定されておりますが、当院院長は処方に必要な総合内科専門医の資格を有しております。頭痛でお困りの際は当院にご相談ください。
参考文献 「頭痛の診療ガイドライン2021」