甲状腺:小さな司令塔
2023年1月9日
甲状腺はのどにある20gほどの小さな臓器です。 こんな小さな臓器ですが、体の代謝に関わる重要なホルモンを産生しています。
そのため、甲状腺の病気は、甲状腺自体にしこりができてしまう場合以外にも、甲状腺ホルモンが出すぎた状態(甲状腺機能亢進症)とホルモンが十分に作られない状態(甲状腺機能低下症)で体の不調(疲れやすい、不整脈など)をきたす場合もあります。 甲状腺機能亢進症 甲状腺ホルモンが出すぎた状態で、最も多いのがバセドウ病です。 女性に多いのも特徴です。 症状としては、 ・動悸がする ・脈の間隔が一定でない ・疲れやすい ・息切れがする ・食べているのに体重が減ってきた ・汗をたくさんかく ・指先がふるえる など様々です。 治療としては、甲状腺ホルモンの合成を抑える作用をもつメルカゾールなどの内服薬が標準的です。 内服を開始して1〜2週間ほどで症状が改善することが多いです。 注意すべき薬の副作用(肝機能障害・無顆粒球症など)もあるので、採血検査などをしながら治療経過を確認していく必要があります。 約半数の人が2~3年で薬をやめることができますが、薬での治療を2年以上続けても薬をやめられる目処が立たなかったり、副作用で薬が続けられなかったりする場合には、他の治療として、 ・放射性ヨウ素内用療法 ・甲状腺摘除術 を行うこともあります。 甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモンが不足している状態で、最もの多いのが橋本病です。こちらも女性に多いのが特徴です。 多い症状は、 ・足がむくんでいた ・疲れやすい ・気分が落ち込みやすい ・体重が増えてきた ・眠気がひどくなった ・便秘症状が悪化した などですが、こちらの症状も様々です。 治療としては、甲状腺ホルモンを補うために、チラーヂンなどを内服します。 採血検査で、ホルモンの量を確認しながら補う量を調節していきます。 いずれの場合も、症状が多彩であるため、動悸(不整脈)のため心臓の病気として治療されていた、疲れやすく更年期障害と言われていた、ということもあります。 甲状腺の治療を開始してもすぐに効果があるというわけではないので、症状に応じた治療も行いながら甲状腺の治療を行うことになります。 甲状腺の病気は症状がわかりにくこともあるので、気になる症状がありましたら、遠慮なくご相談下さい。