不整脈
不整脈とは
心臓は1日に約10万回、一定のリズムで拍動しております。
しかし、時には規則正しくない電気信号により、不規則なリズムをとってしまう場合があります。これが「不整脈」です。
冠動脈疾患や心臓弁膜症、心不全など心臓の不具合が原因となって生じることが多いです。一方で、甲状腺の異常や肺に病気がある方も不整脈になりやすい傾向にあり、ストレスや睡眠不足、疲労なども原因となりえます。
不整脈の種類
不整脈(リズムの異常)には
- 脈が早くなる「頻脈」
- 脈が遅くなる「徐脈」
- 脈がとぶ「期外収縮」
- 脈が不規則になる「心房細動など」
などがあります。
リズムの異常に応じて、様々な症状を呈します。
脈が早くなる「頻脈」
ドキドキとする動悸を感じます。
脈が非常に速くなると心臓から全身に血液を送り出せなくなり、吐き気、冷や汗、気を失うなどの症状が出ることもあります。
脈が遅くなる「徐脈」
フラッとしたり、めまいがしたり、気を失ったりすることがあります。
動いたりするときに息切れが出ることもあります。
脈がとぶ「期外収縮」
脈が飛ぶことを自覚することもあれば、胸の違和感を感じることもあります。
数秒で症状が改善することが多いです。
脈が不規則になる「心房細動など」
心房細動などの不整脈では脈が不規則になります。
脈の乱れを感じることもあれば、動悸(脈が早くなる)を自覚することもあります。
また脈が遅くなることによる症状が出ることもあります。
自覚症状がないこともあります。
不整脈は常に自覚症状があるわけではなく、本人が気づかない場合も少なくありません。
該当する症状のある方だけでなく、自覚症状はないものの検診・健診などで不整脈を指摘された方もご相談ください。
代表的な不整脈「心房細動」
心臓は左右の心房と心室の4つの部屋から構成されております。
心房→心室の順に規則正しく、収縮と拡張を繰り返すし、全身に血液を供給し続けています。心房細動は、心房がけいれんを起こしたように細かく波打ち、心房での正しい収縮と拡張ができなくなった状態です。
心房細動の症状について
動悸、息切れなどの症状を呈することが多いですが、脈がゆっくりになり、フラッとしたり、めまいがしたりすることもあります。
全く症状が無いこともあります。
血液が心房の中で固まりやすく、血の塊(血栓)ができやすい状態になります。
この血栓が血流に乗って、脳の血管に達すると脳梗塞を引き起こします。
健康な生活を維持する上で、脳梗塞を予防することは重要です。
心房細動の検査について
心房細動は心電図、ホルター心電図、心エコーなどの検査で診断します。
心房細動は健康な方にも生じますが、高血圧や糖尿病、心臓弁膜症、甲状腺の異常などが原因となることもあります。
当院では、心房細動が見つかった際には治療すべき心房細動の原因がないかも検査させていただきます。
心房細動の治療について
予防という側面での心房細動の治療としては、脳梗塞の原因となる血栓が生じないように血をサラサラにする薬(抗凝固薬)を内服いたします。
直接経口抗凝固薬(DOAC)やワルファリンを服用することになります。
これらの薬は、出血しやすくなるという側面を持ち合わせるため、年齢や体重、合併する病気(腎機能の障害など)に応じて、適切な薬・容量を選択する必要があります。
一方で、心臓のリズム自体に介入することもあります。
症状に応じて早い脈をゆっくりにする薬(β遮断薬など)を使用することもあれば、正常なリズムに戻す薬(抗不整脈薬)を使用することもあります。
その他、電気的除細動(胸部の2ヶ所にパッチなどを張って通電し、心臓のリズムを正常に戻す治療)、カテーテルアブレーション(心房細動が生じないように、カテーテルを使って心筋の一部を焼灼する治療)などが行われることがあります。
患者さんの症状はもちろんですが、年齢や心房細動が発症して期間、心臓の状態(弁膜症など)によっても、最適な治療が変わってきます。
患者さんと個別に相談しながら治療を検討いたします。