血圧の正確な測定方法:自宅での血圧測定は脳梗塞・心筋梗塞予防の第一歩です

高血圧は脳梗塞・心筋梗塞のリスクを増加させる重要な要因の1つです。
正確な血圧測定は、この状態を管理し、予防するための第一歩です。
専門家が推奨する血圧の正確な測定方法について解説します(1)。

測定の姿勢
足を組まずに座り、リラックスした姿勢をとります。カフ(測定部分)の位置を心臓の高さとして測定いたします。
冬は、厚手の服を着ていることもありますが、厚手の服では血圧が高く出ることもあり、薄手の服で測定するようにしましょう。
喫煙やカフェイン摂取は血圧を上昇させるため、測定前にはこれらを控えましょう。

測定回数と時間
測定は原則として2回行い、その平均値を血圧値として採用します。
朝と夜に血圧を測定することが推奨されており、
朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食前、薬を飲む前
夜:就寝前
に測定するようにしましょう。

測定機器
ガイドラインでは、上腕用の血圧計が推奨されております。
手首血圧計の使用については条件付きで検討されます。手首血圧計は、毎日測定するにはコンパクトで便利ですが、解剖学的に動脈が圧迫されにくく、上腕での測定より精度が下がることがあります。
長期的に血圧測定を継続できるかも踏まえて機器を選定しても良いかと思います。


2023年に発表された約6万人を対象とした研究で、自由行動下血圧(家庭での24 時間血圧)が、外来で測定した血圧よりも、全死亡および心血管死のリスクと関連することが示されています(2)。
すなわち、測定のタイミングなどがガイドラインの推奨を完全に守れなかったとしても、自宅にて血圧を測定することは意義があることなのです。

家庭での血圧測定値が135/85mmHg以上であれば高血圧とみなされます。
定期的な血圧測定と適切な管理を行い、高血圧やその合併症の予防に努めましょう。


文献

1.	高血圧治療ガイドライン2019

2.	Staplin N, de la Sierra A, Ruilope LM et al. Relationship between clinic and ambulatory blood pressure and mortality: an observational cohort study in 59 124 patients. Lancet 2023;401:2041-2050.