タバコと心不全
2024年5月6日
タバコはがん、動脈硬化、肺疾患の原因となることが知られており、健康を害することはこれまでの多くの研究で明らかとなっております。
最近の知見
今回は、院長の専門領域である循環器(心臓)分野において、2022年に米国心臓病学会の雑誌に報告されたタバコと心不全の関連に関して紹介いたします。
紹介する研究は、心不全を発症していない9345人を対象に約13年間経過を追ったアメリカでの研究になります。
13年間のフォローの中で、1215人が心不全を発症し、タバコを吸っている人は、これまでに吸ったことがない人と比較して2.36倍心不全を発症しやすくなることがわかりました。
また、注目すべきは、以前タバコを吸っていた人同士で比較すると、やめてからの期間が長ければ長いほど心不全になりにくいこともわかりました。(1)
現在喫煙中の方は、将来、心臓の機能が低下し、心不全を発症する可能性が高いと言えます。一方で、少しでも早く禁煙することで心不全発症のリスクを低下することができます。
将来のために
日本、世界において心不全患者は増加し続けており、感染症患者の爆発的な広がりになぞらえて「心不全パンデミック」とも言われております。
当院では、生活習慣病の指導の一環として、禁煙に関してもお話するようにしております。
健康な生活を送り続けるためにも、喫煙している方は早くからの禁煙をおすすめいたします。
参考文献
- Ding N, Shah AM, Blaha MJ, Chang PP, Rosamond WD, Matsushita K. Cigarette Smoking, Cessation, and Risk of Heart Failure With Preserved and Reduced Ejection Fraction. J Am Coll Cardiol 2022;79:2298-2305.