花粉症・アレルギー
花粉症
花粉症は、スギやヒノキなど植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水・鼻詰まり・目のかゆみなどの症状を引き起こすアレルギー性の疾患です。
人の体には、外部の異物から守るための免疫機能が備わっています。細菌やウィルスが体に入ってくると、好中球やマクロファージなどの免疫細胞が外部から異物である抗原を攻撃し、感染から身を守ります。
一方で、人体に有害ではないものの外部の異物であるために免疫が反応してしまうことがあります。花粉症は、外部からの異物である花粉に対して鼻の粘膜にあるマスト細胞が反応し、ヒスタミンを放出します。その結果、血管が拡張し、鼻汁などが粘膜にまであふれ、くしゃみ、鼻水などの症状が起こります。
診断
花粉症の診断のために、アレルギー検査をすることができます。
スギ、ヒノキ以外に、ダニ、ハウスダスト、食べ物なども含めた下記の39項目に対するアレルギーを検査することもできます。
Viewアレルギー39
対症療法
内服
抗ヒスタミン薬
基本となるのは抗ヒスタミン薬の内服であり、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどを軽くする効果があります。一方で、脳内に移行し眠くなってしまうこともあります。
下記は参考程度ですが、当院では、症状や生活状況に応じて、内服の選択をしております。また、妊婦さんへは、有益性投与(薬の効果が不利益を上回る)として、リスクがより低いクラリチン、ザイザルなどを処方しております。
ロイコトリエン受容体拮抗薬
アレルギー反応により鼻粘膜の腫脹をおこすロイコトリエンが発生することもあります。
そのため、鼻詰まりにはロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン、シングレアなど)が有効なこともあります。
抗ヒスタミン薬と併用可能です。
点鼻
鼻詰まり症状が強い人には、ステロイド点鼻薬(ナゾネックス点鼻、アラミスト点鼻など)を用いることもあります。
ステロイドといっても、内服薬と異なり局所的に効果を発揮するため使用量を守れば安全な薬といえます。
ステロイド点鼻薬は、効果が出るまでに数日(多くは3〜5日)必要としますが、持続的に使用すれば、十分な効果が期待できます。
点眼
目のかゆみなどの症状には、抗ヒスタミン点眼薬(ザジテン点眼、パタノール点眼など)を用います。
コンタクトレンズを使用している方には、コンタクトレンズをしたまま点眼することができるアレジオン点眼(1日4回の点眼)、アレジオンLX点眼(1日2回の点眼)を処方できます。開封後28日間使用することができます。
花粉症症状にてお困りの方はぜひご相談ください。
舌下免疫療法(スギ花粉・ダニ)
舌下免疫療法とは
スギ花粉やダニによるアレルギー疾患(花粉症、通年性アレルギー性鼻炎)に対して、舌下免疫療法を保険診療で行なっております。
舌下免疫療法は、アレルギー原因物質(アレルゲン)を少量ずつ投与し続けることで、症状を抑える(過剰に反応しないように慣らす)治療です。
治療は3年から5年、毎日治療薬を飲み続ける必要があります。
治療を行った方の約20%で症状の消失、約60%で症状の軽減を認めます。
一方で、効果が見られない方(約20%)もいらっしゃいます。
舌下免疫療法の治療の流れ
初回受診時に症状の確認とスギ花粉もしくはダニについてアレルギーの血液検査を行ないます。
そのため初診当日に処方を行うことは出来ません。
ただし、既に他院にてアレルギー検査を受けている場合や治療中の方が転院される場合は、その限りではありません。
診断確定後、治療開始となります。
初回の服用時には、アレルギー反応が出るかもしれないので、院内で内服を行ない、30分間経過観察いたします。
問題なければ翌日以降は自宅での内服となります。
毎日、1日1回、舌の下に薬を置き(1分間保持)、その後飲み込みます。
服薬後5分間はうがい・飲食を避けてください。
副作用を防ぐために投与前後2時間は激しい運動、入浴、飲酒を避けてください。
治療開始当初の数回は1週間おきに受診していただきますが、その後は月に1回となります。
費用は(自己負担が3割の場合)、初回は初診料とアレルギー検査料(5,000〜6,000円程度)がかかります。
その後は1か月あたり3,000円程度の費用(薬代含む)の費用となります。
注意点
- スギ花粉に対しての治療開始時期は花粉の飛散が見られない6月~12月までになります。
- ダニアレルギーに対しての治療は、いつでも開始できます。
- 効果を実感できるまで時間がかかる場合があります。2~3ヶ月かかることが多いです。
- 妊娠中の方、喘息症状が重症である方、重篤な全身性疾患を有する方は治療できません。
- 副作用として口内炎、口腔内の腫れ、かゆみ、下痢などが出ることがあります。