心不全
心不全とは
心不全の原因と症状
心臓は全身・肺に血液を送るためのポンプとして働いております。
このポンプ機能は、優れた予備能を持ち、運動する時など全身に多くの血液を供給する必要があるときにはギアをあげることができます。
しかしながら、加齢や心臓の不具合によってポンプ機能は徐々に低下していきます。
機能低下が軽度であれば、予備能が低下するのみで、日常生活に支障をきたすことはありません。
一方、大きく心臓の機能が低下すると、ギアを上げても全身・肺に血液を十分に送れるだけのポンプ機能を維持できなくなってしまいます。
結果として、血流が全身でうっ滞し、肺や足などに体液がたまり、息が苦しくなる、足がむくむといった心不全の症状が出現します。
日本循環器学会と日本心不全学会の心不全の定義
2017年に多くの人に心不全がどんな病気かわかりやすいようにと日本循環器学会と日本心不全学会が下記のように定義を発表しました。
「心不全とは、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。」
心不全の予後
上記の定義の背景として、日本での循環器疾患の死亡数は、がんに次いで第2位となっていること、心不全による5年生存率は50%と予後がわるいことが挙げられます。
実際、心不全の予後は、大腸がんの予後とほぼ同等と考えられています。
がんとの違いは、心不全は悪くなったり、良くなったりを繰り返しながら、徐々に悪くなり、一部の人では、急な病状の悪化により突然亡くなってしまうこともあるということです。
急性・慢性心不全診療ガイドライン 2017年改訂版
心不全の検査・治療について
採血や心電図、胸部X線、心エコーにて心不全の診断・評価を行います。
症状や心臓の状態に応じて、心臓の機能が低下することを防ぐ心保護薬(β遮断薬やACE阻害薬など)や全身に貯まった体液を出すための利尿薬などで治療を行います。
また過労や水分・塩分の摂りすぎなども注意が必要なため、食事・運動などの相談も行います。